2006年12月04日

帝王切開増加と少子化の関係

先日、日経新聞に掲載された記事より。

6人に1人が帝王切開・昨年9月の妊婦
今回の調査では、2005年9月中に国内で出産した妊婦の6人に1人が帝王切開だったこともわかった。少子化で出産の全体の数が減るなかで、帝王切開の割合は過去約20年間で倍増している。
(上記記事より引用)

この記事中で述べられている「今回の調査」とは、次のリンク先ニュースで取り上げられている、厚生労働省の2005年医療施設調査のこと。(紙上では下記の記事がメインで、それに付随する囲み記事の形で上記の記事が掲載されていた都合。)

病院の小児科、ピークから2割減・05年医療施設調査

この記事も、小児科や産科の減少をはっきりと表していて興味深いのだが、今回特に個人的に興味をそそられたのは、冒頭の帝王切開の記事であった。

帝王切開の割合が右肩上がりに増加している事情について考えられる理由として、上記の記事では、
 1)高齢出産、不妊治療後などの高リスク出産の増加
 2)訴訟を避けるため、早めに手術に踏み切るケースの増加(医療側の事情)
をあげている。
自分はこの他の要因として、
 3)帝王切開手術・麻酔の技術向上や薬品の改良による手術自体の安全性の向上
 4)妊娠週数の短い早期の出生児に対する治療法、救命率の改善
 5)妊婦側の安全に対するニーズの上昇(逆子、多胎児出産など)
というところもあると考える。
いずれにしろ、妊婦側、医療側の双方からのニーズがあり、その目的は、より安全な出産を、より健康な出生児を、ということであるから、自然な流れといっていい。

だが、個人的な考えだが、これは少子化と相関する事象ではないか、とも思う。
自分自身、2回の出産はいずれも帝王切開であった。
1回めの時、妊娠中毒症のなりかけのため、帝王切開になった。ただ、当時の医師からは、「ちょっと血圧が高いね」とか「赤ちゃんがなかなか下りてこないね」程度の話しか聞いておらず、出産予定日に「これは帝王切開だねぇ」と言われた。*1 結果的には、この時点で帝王切開にしてよかった、という事例だったとは思う。
2回目の妊娠は順調で、臨月になって血圧が上がってくることもなかった。しかし、初産時帝王切開だったため、反復帝切ということで、有無を言わせず帝王切開となった。ただ、前回帝切でなければ、正常分娩で産めるケースだったのかもな、と今でも思う。
このように、初産で帝王切開になると、安全のため、ほとんどの例でそれ以降の出産は帝切となる。1回め、2回めが帝切であれば、3度目以降に帝切はほぼありえない。*2
したがって、初回の帝切が増えれば、自動的に帝切全体の数は増える。

加えて、帝王切開は、母親にとって次の出産をためらう要因となりえる。
帝王切開は2度までだの3度までだのという噂(あくまで噂なのだが)を耳にしたり、次の妊娠が早すぎると子宮破裂が怖いなどという話を見かけたりする環境。加えて、「帝王切開なら痛くなくてよかったね」などの周囲の心ない言葉や、正常分娩で産めなかった、という自分自身への不全感に悩む人もいる。少なくとも、自然分娩に比べると、次の妊娠出産へのモチベーションは下がりやすい。

帝王切開が増えている状況自体は憂うべきものではないと思う。むしろ、これまでは危険があっても強行突破で自然分娩していた例が、より安全に早いうちに帝王切開に移行したり、予定を組んで帝王切開にしたり、というケースも増えているだろうから、その点ではむしろ歓迎すべきだと思う。
ただ、それが間接的にではあるが、少子化のベクトルに関与する可能性もあるのかもしれないな、という印象は持った。

*1:そのあたりは過去のブログにもうすこし詳しい経緯を書いている。以下のリンク→http://azumy.way-nifty.com/blog/2003/09/by_c7ef.html

*2:初産時に正常分娩であれば、2回めが帝王切開だとしても、3回目の出産で正常分娩にトライすることは十分に可能である。一度でも子宮口が十分に開大して新生児がそこを通ったか、が問題であるからだ。

posted by あずみ at 13:18| Comment(6) | TrackBack(0) | ニュース等 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
“帝王切開なら痛くなくてよかったね”

これ、信じられない言葉です。帝王切開は帝王切開の痛さがありますよね。
過日、2人部屋にいたワタクシですが、同室の方は、帝王切開でした。
無事出産されたものの、術後当日及び1日目くらいまで、すごく辛そうにしていらっしゃいました。
ワタシは、帝王切開を含め、手術をした事といえば、親知らずを抜く時くらいしかありませんが、
結局体にメスを入れるんですから、いくら傷口をふさいだとしても痛いですよね。

しかし、ワタシの周りでは、普通分娩より帝王切開のが痛いと言われ
あずみさんとは、逆に「普通分娩でいいね、帝王切開のが痛いのよ」って言われた事があります。

どちらにしても、出産は、一大イベントですよね。
Posted by こばち at 2006年12月04日 17:14
>こばちさん
コメントをありがとうございます。
言葉足らずで申し訳なかったのですが、「帝王切開なら痛くなくてよかったね」は私が言われた言葉ではありません。自分が帝王切開を受けたのち、しばらく2ちゃんねるの育児板にある帝王切開者の集まるスレを読んでいたのですが、そこでこのようなことを言われた、という話がけっこう繰り返し出ていたのです。姑さんからもっとひどいことを言われた、という話もありました。

幸いにも、自分の周囲には、帝王切開に対して心ない言葉や的はずれな慰めを言う者はいませんでした。言う側は慰めのつもりで言うことでも、言われる側にとっては心に痛い言葉であることが多々あります。
ただでさえ、自分が帝王切開になったことを心から喜ぶ者はまずいない(強がりや"よかった探し"はありますが)ですから、中途半端な慰めはかえって追い打ちをかけるようなことになるんですよね。

それはさておき、とにもかくにも、今は帝王切開後のきつかったことなど、すっかり忘れております。人間は都合の悪いことはうまく忘れるようにできているものですね。
下腹部の傷は、先生が丁寧に後が残りにくいよう縫ってくれたにもかかわらず、見事なミミズになってしまっていますが。これはしょうがないですねぇ。
Posted by あずみ at 2006年12月04日 21:45
普通分娩でも帝王切開でも赤ちゃんが無事に生まれてくれば、本当に感謝したいです。
私は二人とも普通分娩でしたが、二人目は心音に異常が見られたので近所の産婦人科から総合病院に即入院となりました。様子を見ているうちに、陣痛がきてそのまま生まれたわけですが。
先生は4針縫ったはずなのに1針分抜糸忘れてるし(一ヶ月健診の時にこっそり切っていたような・・)、赤ちゃんは結核に感染するし、総合病院に転院して果たして安全だったのか、今でも疑問です〜。
そのせいではないと思うのですが、その後健診の度異常を指摘され、今では障害手帳持ちの彼を見るとやはり苦難の旅立ちだったと思うのでした・・。
Posted by ぽよまま at 2006年12月07日 08:37
>ぽよままさん
>>普通分娩でも帝王切開でも赤ちゃんが無事に生まれてくれば、本当に感謝したいです。
本当に、それが全てですね。いずれにしろ、その先の長さに比べると、出産なぞほんの一瞬ですから。
そして、結局は結果論ですよね。歴史にifはない、とよく言いますが、人の歴史(人生)にもifはないという。

なんか、最初が波瀾万丈な子はその先もなにかある、って、そんな法則はないのは分かってるけど、自分もオカルトチックにそう思うことがあります。
うちも、上の子は出産後3週間で甲状腺機能低下指摘、その後ひどい虫歯、加えて斜視遠視と満身創痍でしたが、下の子は今のところなんにもないです。これから何かあるかもしれませんが。
ぽよままさんもお子さんも頑張ってらっしゃるの、いつもブログで見ています。これからも陰ながら応援してます〜。
Posted by あずみ at 2006年12月07日 12:36
はじめまして〜(^_^)私も2週間前腹切して(縦)無事復帰してまいりましたぁ。手術自体は先生と笑いながらしてて ホントに切ってますぅ?なんて余裕だったんですが 後がきましたねー
(>_<)いやいや2日間辛かった。普通分娩がもっと痛いのならホント死んでしまいますよ。二つ経験された方 どっちの方がつらいか聞きたいです。
Posted by 丈まま at 2007年02月18日 00:03
>丈ままさん
はじめまして。ご出産おめでとうございます。
そうそう、帝王切開って、手術が終わったあと、麻酔が切れてからが、くるんですよねー。
出産・手術での体力消耗と赤ちゃんの世話で大変な時期だと思いますが、どうぞお身体を大事になさってくださいね。
生まれたての赤ちゃんを想像するだけで、ほわーんとなってしまいます、私。ああ、抱っこしたい! なんて失礼なことを申し上げてすみません。
Posted by あずみ at 2007年02月18日 12:17
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